CAPワークショップ
CAPとは
CAPとは、Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)の頭文字をとったもので、子どもが『いじめ・誘拐・性暴力』といったさまざまな暴力から自分を守るための暴力防止プログラムです。
1978年に米国オハイオ州コロンバスのレイプ救援センターが開発したプログラムで、世界10カ国以上で実施されています。日本へは1985年に、当時米国でCAPトレーナーをしていた森田ゆりさんによって紹介され、現在日本全国で実施されています。
CAPの基本的な考え方
1. エンパワメント ~内なる力を信じ、その力を引き出す働きかけ
エンパワメントはCAPの基礎となる理念です。人は生まれながらに素晴らしい力を持っている。その力を信じ、充分に発揮できるように働きかけることです。
「子どもは無力でおとなが守らなければいけない存在だ」と考えられてきたため、これまでの暴力防止は「~してはいけません」といった行動規制が中心でした。しかし、それでは実際に暴力にあいそうになった時にどうしたらいいかわかりませんし、自分を責めてしまうこともあります。
CAPは、たとえ不安で困難な状況であっても、子どもが本来持っている問題を解決する力を信じて「あなたには~ができるよ。~もできるよ」と行動の選択肢を共に考え、暴力に対処する力をサポートします。
2. 人権意識 ~「安心・自信・自由」そして大切なわたし
子どもたちは誰でも「安心」して「自信」を持って「自由」に生きる権利があります。権利と言うのは食べたり寝たりするのと同様、生きるためにどうしても必要なもののことです。そして、暴力とはこの「安心・自信・自由」の3つの権利を侵す行為です。暴力にあいそうになった時、できることの選択肢として「いやと言う」「逃げる、その場をはなれる」「誰かに話す」ことをロールプレイを使って学んでいきます。
「自分たちは大切な権利を持っている、大切な存在なのだ」という人権意識を持つことで子どもたちは危険な状況から逃げるための知識や技術を身につけ、大切な自分の心と体を守ることができるようになります。そして自分を大切に思える心があるからこそ、人も大切にできるようになります。
3 コミュニティ ~学校・家庭・地域の連携
CAPでは、子どもたちが安心して暮らしていくためには、地域のおとなたちが子どもたちをサポートすることが不可欠だと考えています。おとなへのワークショップを教職員や親、地域のおとなたちへ提供することにより、エンパワメント、人権意識などの考えや暴力に対する知識、情報、技術などをおとな同士が共有し、連携して地域全体で子どもたちをサポートする方法を一緒に考えます。
また、学校に地域のおとなが来て子どもワークショップを提供することにより、子どもたちは子どもの安全のために真剣に取り組んでいるおとなたちがいること、子どもの話を聞いてくれるおとながいることを理解します。CAPはコミュニティの安全のための活動です。